現実逃避録

旅行とか趣味の記録

【オマーン】マスカットはめちゃめちゃいいぞ。

前回→https://wprefrom.hatenablog.com/entry/2020/01/12/175625

ここから詳しく述べていきますが、マスカットは綺麗でめちゃ良いところだったので「海外旅行行きたいけどベタっぽいとこ以外がいいな」って諸氏は是非前向きに検討してほしい。

 

・12/25 マスカット

ドバイ23時発の夜行バスに乗り込み、オマーンの首都・マスカット市内のアザイバ・バスターミナルに到着すること朝7時過ぎ。現地で何とかする気満々でオマーンの通貨(リヤル)を一銭も持たずに来たのですが、想像以上に周囲に何もない。ただバス会社の人によれば幹線道路沿いに10〜20分歩くと「アル・ミーラ」というスーパーがあって、そこで両替ができるとのことだったので、同じ夜行バスに偶然乗っていた一人旅の日本人のおじさん(同じくリヤルを持っていない)と3人で歩いて向かうことに。

このおじさん、若い頃から色んな国を訪問してる割と旅慣れた方で、話を聞くと内戦前のシリアなんかにも行ったことがある猛者でした。いいなシリア。全てが終息したらシリアとかイラクには行ってみたいんだよな。

で、そんなよもやま話をしつつ到着したわけですが、この時点で7時45分くらいだったと思います。開くのは8時だったので待機。朝早いのもあって準備中の店員以外ほとんど人気がありませんでしたが、しばらくすると若い中国人の女の人が一人登場。開かないドアを前に右往左往していたのですが、確か同じバスに乗ってた人な気がすると思い、

「まだ開店してないけど、あと数分で開きますよ」

とかなんとか言って英語で話しかけてみました。話を聞くに、確かに彼女も我々3人と同じバスでドバイからやってきて、現金は持っているがSIMを買いにきたとのこと。

さて、8時になり無事両替が可能に……と思いきや、ところがどっこい。開いたのは食料品売り場だけで、SIM売り場は9時から、外貨両替はなんと10時からとのこと! 「え……どうするこれ……」となる一同。すると、中国人女性は「あなた達これからどういう予定なの?」と聞いてきます。

僕「俺ら2人はこれからスルタン・カブース・グランド・モスクに行くつもりですけど…」

おじさん「夜にはここに戻ってきてサラーラ(Salalah, オマーン南部の都市)行きのバスに乗るけど、それまでは何も予定がないので、どこか行くなら折角だから付いていきます」

女性「じゃ私もそのモスク行くから、ひとまずタクシー代立て替えてあげる」

僕「いいんですか? でもそちらのご予定は…」

女性「私ほぼノープランだから。泊まるホテルすら決めてない。」

マジ……? 強過ぎか。

かくして偶然集まった4人でモスク観光へ向かうことに。彼女がいなければマジで10時まで虚無な時間を過ごす羽目になっていたので、こんなありがたいことはなかったです。

ちなみに女性は小さいバッグ1個しか荷物がなくて、「まさか中国からこれだけの荷物と完全ノープランで一人で来たのか? 度胸ありすぎでは?」と思ってましたが、聞けば住んでいるのはドバイだそう。ああ道理で軽いノリで来た感じなわけだ。

スルタン・カブース・グランド・モスクは、アブダビにあるシェイク・ザイード・グランド・モスクと同様、入場無料。女性にはスカーフの貸し出しもあります。朝だったのもあるかとは思いますが、ザイードモスクほど混んでません。というか、全体的にマスカットはドバイやアブダビと比べると観光客が少ないように思います。観光地として魅力がないかというと決してそんなことはなく、非常に美しく治安も良いのでもっと流行ってもいいと思うんですが、落ち着いてるのも良さの一つかなあと。

豪奢なインテリアで飾られた巨大で派手な純白のザイード・モスクとは対照的に、ここカブース・モスクは質素な砂色の壁面と木製の内装など、割と地味めな外観でありながら隅々まで美しく手入れされ、シックな高級感のあるモスクとなっています。個人的には、この2つのモスクの印象がそのままUAEオマーンという2国の雰囲気を反映しているような気がします。

写真からも見て取れるように足元は綺麗な光沢のある大理石であり、これに雲ひとつなく晴れ渡った中東の青空が加わることによってとてつもなく眩しいので、サングラスの持参を強くおすすめします。

さて、モスクを見終わったら再びタクシーに乗り込み、マスカットの中心地であり予約したホテルの存在するルイ(Ruwi)へ向かいます。数年前までムワサラットのバスの拠点があったところです。

バリバリ営業してる両替所があったので、無事オマーン・リヤルを入手。3000 UAEディルハム(約9000円)を31リヤルに交換しました。1リヤルはおよそ300円。恐ろしく高い通貨ですが、下位通貨であるバイザ(1000バイザ=1リヤル)が存在するので物価自体はそれほどでもないです。このお金でタクシー代を立て替えてくれた中国人女性に返金。まじで助かった。ありがとう。その方とはここでお別れし、おじさんを含めた3人で昼食へ向かうことに。折角だからローカルな料理を食べてみたいということで、地球の歩き方に載ってたオマーン料理店へ。

ルイ地区のランドマークらしい時計塔。ここから徒歩圏内にその店はあります。

絨毯を敷いた床に直接座って食べるのが伝統的なスタイルらしい。手前(自分)はラクダ肉のビリヤニ、他の2人はアラビアンカレーみたいなやつ。自分は変わった食材のメニューがあるとどんな感じか気になって頼んでしまう傾向があるんですけど、特にラクダは以前高田馬場の「米とサーカス」というゲテモノ料理店にネタで行ってみたときに食べられなかったので、折角中東に来たのもあるしということで注文してしまいました。ただ焼きかたの問題もあるでしょうが堅くて歯応え満点でしたね。正直格別美味しいって感じではないです。はい。

ただ帰国したとき知ったんですが中東呼吸器症候群(MERS)の感染源がラクダで、しかもオマーンが発症例の多さ2位(1位サウジ)らしいのでまあまあな冒険してたっぽいです。ま、堅くなるくらい火が通ってたからか結果としては大丈夫でした。

昼食後、とうとうおじさんとも別れパーティ人数は元の2人に戻ります。

ホテルまで徒歩で向かいましたが、同行した友人曰く「カリフォルニアっぽい」。うーん、西海岸行ったことないけど確かに分かる気がする。岩山とか生えてる木とかの感じが。

ホテルはザ・場末って感じの場所。建物と建物の隙間の奥にある感じだったのでメチャ分かりづらい。

外見は少々さびれた感じでしたが、ロビーはまあまあ綺麗。上の写真にはいないですが、チェックインした時には左手のソファに日本人観光客の若い女性が座っていました。オマーン、見たところ日本人観光客めちゃ少ないんですけど、ピンポイントに行く先々でばったり遭遇するっていう。ちなみにこの方、世界一周1人旅の真っ最中でこの時点で5ヶ月目とかそこらだとか。この時はオマーン南部(サラーラ方面)から来てマスカットに着いたばかりのタイミングと言ってた気がしますが、ともかく「めちゃめちゃ久しぶりに日本人に会った!」と言われたのを覚えてます。

自分たちとしてはホテルに荷物を置いてからマトラ地区〜オールドマスカット地区をぶらつこうと考えてたんですが、こんなところで出会ったのも何かの縁ということで3人で向かうことになりました。

マトラ・コルニーシュ(Mutrah Corniche)。海に沿って美しく湾曲した歩道が続きます。そばにはマトラ・スーク(Mutrah Souq)という市場があるんですが、夕方から本格的に営業し始めるということでまずはオールドマスカットまで海沿いを散策することに。

こんな感じのモニュメントが一定距離おきにあったりもする。

マトラ地区を見下ろす高台にはマトラ城塞(Mutrah Fort)が建っています。上の写真を左に行って裏に回ったところから登ることが可能。

大砲なんかも置いてあったりします。

これがてっぺん。

砦をおりてさらに東へ進んでいくとオールド・マスカット地区に入っていきます。

観光地ではない普通の街中のモスク。

カラフルな外装が特徴的なアル・アラム宮殿(Al Alam Palace)。まあ、裏手側なんですが...正面側へ回ろうかとも思いましたが結構道が入り組んでるようだったので、かなり歩いたし、いい時間にもなったのでここでタクシーを拾ってマトラへ引き返しました。このオールド・マスカットには国立博物館なんかもあったりするんですが、それはまたの機会(あればですが)に残しておくことに。

ちなみにここまでぶらついてくる中でその世界一周中の女性から色んな話を聞きましたが、プライバシーに深く関わりそうなことを除けば「今まで行った国でどこが良かったか」というこちらの問いに対して「アゼルバイジャン」と返ってきたのが印象的ですね。あと中東だとヨルダンやパレスチナが良かったとも。ともあれこの方との出会いによって、世界というものは自分が漠然と「世界にはこれくらい色んな物事がある」と想定してるより遥かに広く深く複雑だってことを垣間見たように思います。

で、そんな彼女の「オマーンのお茶はおいしい」という証言に基づきここで一息。甘いチャイみたいな感じで疲れた時に飲むと良さそう。

いざ本格的に店が開き始めた夕暮れ時のスークへ。

ザ・中東って感じの小物土産とかがいっぱい売ってます。ベトナムカンボジアよろしく値交渉制なので、色々粘って結局ハンジャル(アラブ風の曲がった短剣)のレプリカとか記念品を数点購入。

マトラスーク内部は迷路っぽいカオスな構造になっています。

スーク物色を終えた後は自分たちが泊まってるホテルの近辺にあるホテルでディナー。ゴリゴリのイスラーム圏であるオマーンですが、外国人にも飲酒を許さないらしいサウジなどとは異なりホテルレストランなど特定の場所であればお酒を飲むことができます。

いやしかし、かなり濃い一日だった。

・12/26 マスカット→ドバイ

翌朝、しばらく待ってみましたが当の女性が起き出してこなかったので(そもそもどの部屋か知らないし)、SNSでお礼とご挨拶を入れて2人で出発。

コルニーシュにもう一度行ってみたら海鳥が沢山いて素晴らしく映える景色になってました。前日の午後と違い満潮で変に岩が見えてない点もグッド。

砦方面は既に見たので、魚市場をちょっと冷やかしたり。その後バスに乗り込んで王立歌劇場へ向かいました。

ルイ(Ruwi)のターミナルで乗り換え。

市内バスはこんな外観。UAEと違い、現金で乗車。

王立歌劇場(オペラハウス)はバス停からすぐ。隣接したショッピングモールの入り口まで徒歩1分くらいです。

オペラハウスはカブースモスク同様に足元がピカピカな上にこちらは真っ白なので、サングラスないとマジで目開けてられないです。

いやはや、お金持ってるなあ。

ちなみにやりとりは少なかったですがここでオマーン通算3人目の日本人観光客に遭遇。上記のオペラハウス正面で写真を撮ってあげる代わりに自分たちのも撮ってもらいました。

オペラハウスを一目見た後はそこからしばらく歩いたところにある商業施設で昼食(オペラハウス近辺はまあまあセレブな店しか無かったので...)。浜辺のそばのテラス席でトルコ料理を食しました。

羊肉、好きなんですよね。よく臭いって言われますが僕はあの独特な風味が好きです。

テラス席から見える海

オペラハウス前に戻り、市内バスに乗ってアザイバのバスターミナルに帰還。15時発のバスでドバイへ向かいます。ただ出発は定刻でしたが到着がめちゃめちゃ遅れてドバイ着が深夜1時回ったのでロシア人男性がブチ切れてました。主な原因としては出入国審査が長かったこと。UAEの入国審査、空港がザルだったのに比べ陸路だとだいぶ厳しかったです。ちょっとでも気になるものがあった人は全員居残らせて一人一人カバンをひっくり返す勢いでした。

ちなみに途中のソハール(Sohar)でスルタン・カブース・グランド・モスク・ソハールを一瞬ながら車窓から見ることができました。青色が美しいモスクで、今回行こうか検討したんですがこのためだけにソハールに寄る時間的余裕がないなあと断念した場所です。

最初の記事で書いた通り、今回の旅はアブダビのザイードモスクを目玉としていてどちらかといえばオマーンはおまけのつもりでした。ただ実際マスカットを訪れてみると街並みも非常に綺麗で治安もよく、マスカット以外にももっとこの国を見たい! と非常に強く感じます。いつかもう一度オマーンに来てワディ・シャーブやニズワ、ソハールとかも含めて巡ってみたいなあ。